121話 家蜘蛛
虫は苦手だ。なにを考えているのかわからないし、うぞうぞしているし、節足だし、小さくてつぶつぶした状態で大量に集まっていることもあるし(恐怖心展の話参照)、這い上がってくるし、勇猛果敢にも顔のあたりに飛び掛かってくるし。
でもなぜか家蜘蛛だけは怖くない。というか慣れている。つい今しがたもPCに向かっていたら視界の端に黒い点があって、すわ蚊かと身構えたらちいちゃい蜘蛛でなあんだ、となったがよく考えたらおかしな話だ。理由は明白で、小さい頃から家蜘蛛は大事にするほうがよい、と言われていたからだ。小さい虫とかを捕まえて食べてくれる益虫なので。巣は張るけど。よくキャタピーと名付けて眺めていた。何年にもわたって実家でちいちゃい蜘蛛を見て毎回キャタピーと名付けていたので、きっと何代もキャタピーの名前を襲名していたことだろう。蜘蛛は基本壁を歩いていて自分の方に飛んでこないのも大きい。
慣れとは恐ろしい。でもハリポタとかである巨大蜘蛛に実際会ったらそれはそれでひっくり返るとは思う。家蜘蛛にもまったく緊張しないわけではない。眺めつつ干渉せず共にある。
先ほどの蜘蛛は天井へと登っていき、いつの間にかいなくなっていた。おそらく電灯の中に入っていったのだろう。焼け死なないことを願う。
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